セブンスラグビーのキックオフは簡単だと思いますか?
HSBC SVNSシリーズでよく知られている格言は「キックオフを支配する者が、スコアボードを支配する」というものです。
キックオフはセブンズラグビーで最も一般的なセットプレーです。チームがトライを取った後、試合はキックオフで再開されます。これは15人制ラグビーとは異なり、得点したチームがキックオフを受けることになります。
だからこそ、キックオフは非常に重要であり、チームは毎週、キックオフからボールを奪うことに特化したトレーニングを行っています。
HSBC SVNSシリーズの順位を見てみると、パースで開催されるシーズン第3戦に向かう中で、(キックする側と受ける側の両方において)キックオフを多く勝ち取るチームは、上位に位置していることが分かります。
近年、アルゼンチン男子代表はリスタートでの成功において、他のチームと差別化されています。東京オリンピックでは、彼らのリスタート成功率は59%で、大会平均の29%を大きく上回りました。これにより、リオ2016の6位から日本では銅メダルを獲得することができました。
彼らは最近のシーズンでもこの状態を維持し、安定してトップクラスのキックオフチームとして評価されています。これこそが、複数の大会を制し、2023-24シーズンのシリーズ順位でトップに立った理由です。
どのチームのキックオフプランにも3つの重要な要素があります:キック、コンペティション、そしてクリーンアップです。
キック
ドロップキック-プレーヤーがボールを地面に落としてからキックするため、その名前が付いています-は、セブンズラグビーの試合再開方法です。ボールが10メートルラインを越える必要があります。
私にとって、これはラグビーで最も習得が難しいスキルであり、習得には数年かかります。
キックオフには、コンテスタブル(競り合い可能)キックとノンコンテスタブル(競り合い不可能)キックの2種類があります。
コンテスタブルキックの場合、キッカーはボールをできるだけ10メートルラインに近づけ、追いかける選手がボールを奪うチャンスを作ります。
近距離のキックは、受け手チームに反応する時間を与えずに、追いかける選手のタイミングを重視することができます。または、ボールを高く蹴ることで、受け手チームがキャッチしづらくなり、さらに多くの選手がボールが着地する場所に到達できるようになります。
ノンコンテスタブルキックは長距離で、受け手チームを自陣深く押し込んで、プレーを強いらせることを目的としています。南アフリカ代表は、この形式のリスタートの模範と言えるかもしれません。
コンペティション
ラグビーには「キックの質は、そのチェイスよって決まる」という古い言葉があります。これはセブンズでのリスタートにおいて特に当てはまります。
ほとんどのチームには、チェイサーと呼ばれる3〜5人の追いかけ役がいます。彼らはキッカーのルーチンを理解し、走るタイミングを合わせてボールを奪取する可能性を最大化します。
チームは一般的にフィールドを4〜6つのエリアに分け、キッカーが狙う場所を定めます。これにより、全員がどこにボールが蹴られるかを把握できます。例えば、「3」はボールが中央に蹴られることを意味し、「1」はボールが左に蹴られ、タッチラインから5メートルほどの位置に着地することを示します。
一般的に、キックオフを行うチームは、追いかけ選手を「スタックパターン」または「スプリットパターン」で配置します。スタックパターンでは、ほとんどのチェイサーがキッカーの片側に集まります。
これにより、キックの選択肢は限られますが、競り合いが行われる領域に多くのチェイサーが投入されます。スプリットパターンでは、チェイサーがキッカーの両側に均等に配置されます。このパターンは現代のセブンズでよく見られます。
キックオフを受ける側のチームは、自陣で「ポッド」や「シングル」を組み合わせた配置をします。ポッドは2人の選手(リフターとジャンパー)で構成され、目的はプレーヤーをできるだけ高く持ち上げ、ボールをクリーンにキャッチできるようにすることです。シングルは、ボールを競り合うのが得意なチームのベストチェイサーです。チームは、ポッドとシングルのさまざまな組み合わせを作り、キックオフを蹴るチームに対抗します。
クリーンアップ
理想的には、キックまたはキャッチのどちらを行っても、ボールをクリーンに獲得してすぐに攻撃を開始したいものです。しかし、国際レベルでは、キックオフは非常に競り合いが激しく、ボールはしばしば一方にタップバックされます。
ボールが空中にある間、両チームは競り合いが行われる領域の周辺に選手を配置し、ボールが落下してきた時に最初にボールを獲得することを目指します。
チームは、相手の得意なキック、ベストチェイサー、キャッチする上での配置を分析します。そのため、キックオフはゲーム内に存在する、一種のゲームとなっています。
キックのレベルは常に向上しており、進化し続けています。すべてのチームは、他のチームに対して優位性を作ろうとしています。
カナダのNate Hirayamaは、両足でキックオフできる先駆者の1人でした。これにより、受け手側となるチームはボールがどちらに行くのかを最後の瞬間まで予測することができません。
私は、これが非常に強力な財産であるため、今後もっと多くの選手がこの能力を習得すると思います。
もし、世界最高のキッカーたちのプレーを見たいのであれば、今週末のHSBC SVNSパース大会をお見逃しなく。