オーストラリア女子、アルゼンチン男子がHSBC SVNSパース優勝、日本女子は過去最高の5位

HSBC SVNS 2025第3ラウンドが1月24~26日にオーストラリアのパースで行われ、女子はオーストラリア、男子はアルゼンチンが優勝。サクラセブンズ女子7人制日本代表は過去最高の5位に入った。

満員のHBFパークで最終日に行われた女子決勝は、大会の最後を飾るにふさわしい熱戦となった。ホスト国オーストラリアがオリンピック2連覇でライバルのニュージーランドと対戦。点取り合戦の接戦を28-26で制して、今季開幕ラウンドのドバイ大会に続いて2勝目を挙げた。

準決勝でカナダに24-17で勝って決勝に進出したオーストラリアはMaddison Levi とFaith Nathanを欠く中、Heidi DennisとMackenzie Davisの10代の2人が冷静なプレーを披露して躍動。Dennis は前後半に1トライずつを決めて勝利に貢献した。

今季第2ラウンドに続く連覇を期すニュージーランドも、準決勝でフランスに36-7と勝利して決勝に進出。Michaela Brakeが開始1分の先制トライを含めて2トライを決め、Kelsey Teneti が前半終了直前に、Risi Pouri-Laneも後半終盤にそれぞれ1本ずつ決めてオーストラリアにプレッシャーをかけた。

しかし、オーストラリアもTia Hindsや80メートルの独走でトライを奪ったCharlotte Caslickが攻撃力を発揮。Hindsはコンバージョン3本、Teagan LeviはDennisの2本目のトライ後のコンバージョンを成功させて試合を決定づけた。

Dennisは試合後、「最後まで根性だけで、気持ちで戦った」とコメントした。

3位はフランス。カナダに先制を許して前半を0-7で折り返す苦しい戦いだったが、後半Carla NeisenとAlycia Chrystiaensのトライで14-7と逆転勝ちを収め、今季3ラウンド連続での3位フィニッシュとなった。

5位はアメリカに29-22と逆転勝ちした日本で、7位には中国に21-19と競り勝ったブラジルが入り、9位は英国に26-17で勝ったフィジー。11位はアイルランドに24-12で勝ったスペインだった。

 

サクラセブンズ、アメリカに逆転勝利

 サクラセブンズ女子7人制日本代表が、アメリカと対戦した5位決定戦で後半に反撃。岡元涼葉の2連続トライなどで29-22と勝利を収め、ワールドシリーズ参戦で過去最高の5位に入った。

サクラセブンズ主将の吉野舞祐は、「全員で戦い抜くことができた大会。接戦が多く、苦しい時間帯もあったが全員の勝ちたいという気持ちが5位につながった」と振り返った。

今大会は初日にアイルランドに14-7、ブラジルに19-12で連勝でスタートし、2日目のニュージーランド戦で5-53と大敗したが、プールAを3戦全勝のニュージーランドに続いて2位で突破。準々決勝で開催国のオーストラリアに0-35と完敗して5位決定戦へ進んだ。

一方のアメリカはプールBでフィジー、英国に勝った後、カナダに敗れて2位で突破。準々決勝でフランスに7-19で敗れて日本との対戦に臨んでいた。

日本にとっては勝てば過去最高の5位となるアメリカとの決定戦だったが、出足は厳しかった。試合開始早々にアメリカのAriana Ramseyに2連続トライを許して、いきなり10点ビハインドとなった。前半6分に大谷芽生がボールをつないだ展開から1トライを返して5点差に詰めたものの、ハーフタイム直前にKayla Canettにトライを許して前半を5-15で折り返した。

だがサクラセブンズは落ち着いていた。後半開始早々に岡元涼葉が右サイドでボールを受けてハーフウェイライン付近から加速。走り切って5点を返すと、その直後にもスピードと巧みなステップで相手をかわして2連続トライで15-15に追いついた。

直後にアメリカのJessica Luにフィールド中央の突破からトライを決められ、Sariah Ibarraのコンバージョンも決まって再び7点の先行を許し、残り2分でスコアは15-22。

しかし、そこからサクラセブンズはボールを保持して攻め込み、アメリカにプレッシャーをかけ続けて13分に吉野舞祐がトライ。さらに、試合終了間際に谷山三菜子がトライとコンバージョンを決めて逆転で勝利を手にした。

 

サクラセブンズHC、4強挑戦へ

 決勝トライを決めた谷山は、「ラスト30秒からという短い時間だったが、(トライは)13人みんながつないでくれたもの。トライができてうれしかった」と喜び、「1日目からの接戦を勝ち切ることができたことが2日目、3日目につながったと思う。世界1位、2位には圧倒されたが、目標としていた5位になれて良かった」と安堵の表情も見せた。

 サクラセブンズの兼松由香ヘッドコーチは、今大会でチームは一日ごとに「勝ち切る大切さ」「世界トップのスタンダード」「自分たちを信じる力」を学んだと評価。その結果、「過去最高になり、ようやく『ベスト4の壁』の前に立つことができた」と話すと、「壁の向こう側の景色を全員が想像できるように、これからも努力を積み重ねたい」と次の目標を見据えていた。

この結果、サクラセブンズは今季第2ラウンドの6位フィニッシュから1つ順位を上げて、過去最高の5位に入った。総合順位は6位で変動がなかったものの、勝ち点を30として5位のカナダに勝ち点2差で追っている。

今季3ラウンドを終えて女子総合順位の上位4チームは変わらず、ニュージーランドが勝ち点56で首位を維持。これをパース大会優勝のオーストラリアが2差で追い、3位にフランス(48)、4位にアメリカ(40)と続く。

しかし、5位には今大会4位のカナダが勝ち点32で7位から浮上し、今大会5位で終えた日本は勝ち点30で総合順位6位をキープ。今回10位だった英国は勝ち点25で総合順位5位から7位に後退した。8位はアイルランド(17)で変わらず。以下、ブラジル(14)が1つ順位を上げて9位となり、中国(13)が10位に後退、フィジー(8)、スペイン(5)となっている。

 

アルゼンチンが男子決勝でオーストラリアに快勝

 男子決勝ではアルゼンチンがオーストラリアと対戦し、立ち上がりから攻守に圧倒してホスト国を後半の1トライに抑えて41-5で快勝。今季初優勝を決めてパース大会2連覇を達成し、開幕ラウンドの3位に続く表彰台で総合順位も2位に上げた。

 アルゼンチンはMarcos Monetaの先制トライを皮切りに、Luciano Gonzalezgaが2連続トライをマークし、前半を17-0で折り返すとSantiago Alvarezのトライに続いてMatteo Grazianoが3連続トライを決めた。

 オーストラリアは地元ファンの声援を受けての決勝だったが、Hadley Tongaの後半1トライに抑えられた。

男子3位決定戦はスペインと南アフリカの激しい競り合いとなり、スペインが14-7で制した。

前半終了直前にEduardo Lopezがスコアレスの均衡を破り、コンバージョンも決まって先行したが、後半に入って南アフリカがSelvyn Davisのトライで7-7と同点に。再び均衡を破ったのはスペインで13分にJaime Mantecaがトライとコンバージョンを決めた。南アフリカは前半終了直前に続けて受けたイエローカード2枚が響いた。

5位はフランスに17-5で勝ったフィジー。7位にはウルグアイに33-7で勝利した英国が入った。9位決定戦ではニュージーランドがケニアに19-12で勝利し、11位はアメリカに19-17で競り勝ったアイルランドが入った。

今大会の結果を受けて、フィジー、アルゼンチン、スペインの総合順位上位3チームが勝ち点48で並ぶ混戦となっている。これを南アフリカが4差で追い、さらにそれをフランスが4差で追っている。6位はオーストラリア(30)、7位ニュージーランド(28)、8位英国(20)と並び、以下は9位ケニア(14)、10位ウルグアイ(12)でアメリカとアイルランドは勝ち点5。

次の第4ラウンドはバンクーバーで2月21-23日に開催予定だ。

HSBC SVNS 2025は男女各トップ12チームが参戦。各地を転戦して6ラウンドを戦い、総合上位8チームが5月にロサンゼルスで行われる最終のチャンピオンシップに出場して、タイトルを競う。9位~12位はHSBCワールドラグビーセブンズチャレンジャーシリーズの上位4チームとともに、同時期に開催されるプレーオフに出場して来季シリーズでの残り4枠を争う。