香港大会で女子HSBC SVNSを見逃せない5つの理由

シーズン終盤に突入し、いよいよ正念場へ。

シーズンを左右する大一番から、歴史を塗り替えるトライゲッター、さらには番狂わせの可能性まで。香港での女子大会は見どころ満載ですが、その中から5つの注目ポイントを紹介します。

1. 強豪2強の牙城を崩す挑戦者たち

現在の女子HSBC SVNSシリーズは、まさに群雄割拠の戦いです。

頂点に君臨するのは、これまで金メダル争いを繰り広げてきたニュージーランドとオーストラリア。この2チームの激闘は、歴代最高クラスのトライゲッターたちによってさらに白熱しております(詳しくは後述)。

しかし、この2強に次ぐ勢力は予測不能です。これまでの2024/25シーズンで、6カ国が準決勝進出を果たしており、その多くが王者たちにプレッシャーをかける存在となっております。

バンクーバー大会では、プールステージでブラジルがオーストラリアを破ると、その勢いのまま5位入賞という過去最高成績を記録。さらに、日本は史上初の準決勝進出を果たし、11位スタートだったフィジーはなんと銀メダルを獲得しました。

これに加えて、SVNSで3度の銅メダルを獲得したフランス、前回オリンピック銀メダリストのカナダ、そしてスリリングなプレーで魅了するアメリカも控えております。

次に大躍進を遂げるのはどのチームでしょうか?

2. 進化し続ける日本代表

ここまでの流れを考えれば、香港大会の注目チームとして日本を挙げるのは奇妙に思えるかもしれません。しかし、そこには確かな理由がございます。

フランスは直近3大会で銅メダルを獲得しながらも、バンクーバー大会では9位に転落。一方、日本代表・サクラセブンズは着実に進化を続けております。

昨年のオリンピック予選敗退を受け、兼松 由香ヘッドコーチが就任。チームの目標は「大会ごとに成長すること」。この方針のもと、弱点を強みに変える取り組みが功を奏しました。

開幕戦のドバイ大会で7位だった日本は、その後6位、5位、4位と着実に順位を上げております。

香港大会で狙うのは、もちろん3位。

3. ブラックファーンズがSVNSの魅力を体現

バンクーバー大会決勝で、18歳のデビュー戦選手Maia Davisが笑顔で初トライを決めた瞬間。それこそが、現在のニュージーランドの強さを象徴するシーンでした。

ブラックファーンズは、ピッチに立つ7人全員がスター選手であり、ベンチにも有力選手が控えております。

その圧倒的な強さを示すのが、統計です。現在リーグ首位に立つ彼女たちが、SVNSシリーズで最後に決勝進出を逃したのは、2024年のパース大会までさかのぼります。それ以来、8大会中6回の優勝を果たしており、2位オーストラリアに6ポイント差をつけております。

キャプテンのSarah Hiriniを筆頭に、俊足のJorja Miller、ベテランのRisi Pouri-Laneと、あらゆる局面で隙がありません。さらに、Michaela Blydeは230試合で歴代最多の264トライを記録。

香港大会の初戦では、中国と対戦いたします。大会開幕戦から必見です。

4. Leviが異次元のプレーを披露

今季のSVNSシリーズでは、優れたトライゲッターが多数登場しております。

Michaela Blyde(17トライ)、ブラジルのThalia Costa(21トライ)、フランスのAnne-Cecile Ciofani(14トライ)など、どの選手も素晴らしい成績を残しておりますが、Maddison Leviは別格です。

昨年のワールドラグビー女子セブンズ最優秀選手に輝いた彼女は、14試合で30トライを記録。試合あたり2.14トライ、合計150得点という驚異的な成績を誇ります。

バンクーバー大会を欠場していたLeviが香港で復帰することは、オーストラリア代表にとって非常に大きなプラスとなるでしょう。ここ10年で最も若いメンバー構成のチームに、彼女がどのような影響を与えるのか注目です。

5. どこを見ても大一番

現在、リーグ上位ではニュージーランドとオーストラリアが6ポイント差で争っておりますが、熾烈なのは下位争いです。

5月3日〜4日にロサンゼルスで開催されるグランドファイナルへ進めるのは、上位8チームのみ。現在、そのボーダーライン上にいるのがフィジーで、9位のブラジルとは得失点差でわずかにリードしている状況です。

さらに、その下にはアイルランド(8ポイント差)、中国(10ポイント差)が追走しており、彼女たちにとって香港大会は絶対に落とせない戦いとなります。

興味深いのは、プールステージから直接のライバル対決が組まれている点です。ブラジルと中国はプールAで激突し、フィジーとアイルランドはプールBで対戦いたします。

どの試合も、シーズンの行方を左右する大一番となることでしょう。