シンガポールへようこそ―セブンズの波乱が生まれる歴史的な舞台

2016年のケニア、2017年のカナダ、昨年の南アフリカ。シンガポールでは、これまでにも数々のセブンズの番狂わせが起こってきました。Luke Treharne氏が、2025年のサプライズ候補を読み解きます。

シンガポールを訪れる際に確実に言えることがいくつかあります。多様な食文化、未来的な建築物、驚くほど清潔な街並み、そして暑い気候。しかし、HSBC SVNSの勝者を予想することだけは難しいでしょう。

大会は2002年から2006年にかけて初めて開催され、2016年に世界シリーズの舞台に復帰しました。その年、ケニア男子代表が優勝し、翌2017年にはカナダ男子代表が初めてタイトルを獲得しました。どちらの国も、それまで一度も優勝経験がなく、現在に至るまで唯一のタイトルとなっています。

昨年、HSBC SVNSシリーズの女子大会が初めてシンガポールで開催されると、再び波乱が巻き起こりました。特に衝撃的だったのは、南アフリカが週末の2試合でアメリカを破ったことです。アメリカはその後、パリ・オリンピックで銅メダルを獲得する実力を持つチームでした。

この大会には、選手にとって魅力的な要素が数多くあります。サーキットの中でも最高クラスのチームホテル、素晴らしいスタジアムとピッチ、試合の合間に楽しめる豊富なアクティビティ、そして試合後にはシンガポール・スリングを味わう機会もあります。しかし、最大の魅力の一つは大きな結果を残せる可能性があることです。

シンガポール大会は、伝統的に香港大会の翌週に開催されます。パーティー色の強い香港大会に比べると、まだ独自のアイデンティティを確立しつつある「弟分」のような存在です。選手として感じるのは、シンガポールではより落ち着いた家族向けの雰囲気があり、純粋にラグビーに注目が集まるということです。また、2週連続での大会開催という点も、波乱が起こる要因の一つとなっています。

大会で優勝するには、途方もない努力が求められます。グループステージで敗戦を喫しながらも優勝したチームはこれまでにも存在しますが、通常は週末を通して5〜6試合を完璧に戦い抜き、勢いを維持することが不可欠です。また、ボールの跳ね方が味方する運や、負傷者を出さずに選手の負担を分散できるかどうかも重要な要素となります。

まず、2016年にケニアがフィジーを30-7で破り優勝した軌跡を振り返ってみましょう。ケニアは前週の香港大会でも好調を見せ、最終的な優勝チームであるフィジーに準々決勝で12-10と僅差で敗れました。

シンガポール大会初日のグループステージではそこまで圧倒的な成績ではなかったものの、2位通過でカップ戦に進出。ロシアに21-7で勝利し、南アフリカには14-0で敗れ、スコットランドとは12-12の接戦を演じました。

準々決勝では、1日目を無敗で終えた好調のフランスと対戦。しかし、予想を覆しケニアが28-7で圧勝しました。

続く準決勝では、緊迫した試合の中でCollins Injeraが10メートルラインからペナルティドロップキックを成功させ、アルゼンチンを15-12で撃破。こうしてケニアは決勝へと駒を進めたのです。

決勝戦は、大会史上でも屈指の圧勝劇となりました。ケニアはフィジーを完全に圧倒し、初のカップタイトルを獲得。Collins Injera、Humphrey Kayange、Andrew Amonde、Willy Ambakaといった長年チームを支えたレジェンドたちにとっても、まさに感動的な瞬間でした。

その翌年、カナダも同様に香港大会で好調なパフォーマンスを見せながら、準々決勝でフィジーに29-12で敗戦。しかし、シンガポール大会では好調を維持し、初日を2勝1敗の2位で突破しました。ロシアに28-15、香港に34-0で勝利した後、フィジーには35-7で敗れましたが、次第に勢いを増していきます。

準々決勝では、ニュージーランドを26-14で撃破する大金星を挙げ、続く準決勝でもイングランドを17-5で下す快進撃を見せました。

決勝の相手は、オーストラリアを40-7で圧倒し絶好調だったアメリカ。試合は激しいシーソーゲームとなりましたが、最終的にカナダが26-19で勝利。ケニアと同様に、Nathan Hirayama、John Moonlight、Harry Jonesといった名選手たちがチームをけん引し、カナダラグビー史に残る特別な瞬間を生み出しました。

今年のHSBC SVNSシンガポール大会は、例年以上に大きな意味を持つ大会となります。なぜなら、ロサンゼルスでのワールドチャンピオンシップ前、最後のレギュラーシリーズだからです。

男子・女子ともにシリーズの下位4チームにとっては、番狂わせを起こしてトップ8入りし、降格争いを回避する最後のチャンスとなります。ここで大きな結果を出せるかどうかが、彼らのシーズンを大きく左右するでしょう。

注目すべきは、香港大会で好調だったものの、深いラウンドまで進めなかったチームです。彼らは、シンガポール大会で予想外の快進撃を見せ、タイトル獲得というサプライズを生む可能性を秘めています。